「Ambre」は，電気やその働きを直感的に感じたり操作できたりといったインタラクティブ要素を盛り込んだ，電気回路の学習支援システムです．実際の電子工作ではよく行う「ブレッドボードやジャンパワイヤで回路を作る」という作業をベースに，電気の性質を感じ取ることができるインタラクションが行える特別な装置を導入します．回路にふれる体験を豊かなものにすることで，回路に対する興味を深めてもらったり，今後の勉強の足がかりにしてもらったりということを狙っています．

例えば，電気回路をイメージする際，よく「水路とポンプ」のようなメタファーが用いられます．こういったたとえ話を，現実世界のホンモノの回路と重ねて表現できれば，より電気を身近に感じたり，電子工作に興味をもったりといった可能性をもたらすことができるのではないでしょうか．

ひとつ特徴的なのが「電気を触れて感じ、触って操作できる｣ 配線デバイス．これは，内部を通過する電流が多ければ多いほど高い頻度で震えます．配線を握ると，内部を通過する電流をせき止めることができます，力加減を変えることで、通過する電流量を連続的に変化させることもできます．つまり，電流はながれるものであるよ，だとか，通り道が細いと流れにくくなるのだよ，といった説明を通して電流や抵抗値の概念を伝えることができます．

また，電圧，電気が流れようとする力は，ものが高いところから低いところに落ちようとするのと同じです．であるならば，電圧の高さをなにか実際のものの高さで表してもよいのではないでしょうか．電圧表現プラットフォームは，電圧の高さをゲージの高さに置き換えて表示する特殊な電圧計を備えています．どこの電圧が高いか低いか，あるいは同じくらいか･･･数字でみるよりも直感的に読み取ることができます．

この「Ambre」では，メタファーとリアルを重ねることで，より多くの人に電気や回路制作の楽しさを感じてもらうことを目標としています．